猫の腎臓病と言えば、高齢になったら避けられないと言ってもいいぐらいの病気です。
今のところ治療薬はなく、罹患したら進行を遅らせるための治療をするしかなく、
定期的な通院が必要でした。
まあ高齢だからいろいろ病気になっても仕方ないし・・・。と、うちの猫たちもそうなっていくのだろうと思っていたのですが、なんと、もしかしたら治ってしまう未来があるかもしれないのです。
とても素晴らしいことです。全猫飼主の希望でしょう。
と、そんな情報を知ったのは今年の3月でした。
2021年の時も全猫飼いが驚愕した(たぶん)AIM薬の続報です。
産経新聞によると、AIM薬の臨床試験が始まり来春には農林水産省に承認申請する計画で、早ければ2027年頃には実用化を目指すそうです。
すごい話で興奮してしまいますが、この話にはもっと面白い出来事があるのです。
というのも、このAIM薬が臨床試験に進めた一つの背景に、熱烈な猫飼主たちの応援があったのです。
時はコロナ禍に遡ります。
当時、東京大学大学院医学系研究疾患生命工学センターの宮崎徹教授は、スポンサーの協力のもと猫の腎臓病治療薬を作り臨床試験をするめどが立つところまできていましたが、新型コロナウイルスの社会全体が経済的打撃を受けたことでいったん中断してしまいます。
資金難を克服する一つの手段として「猫が30歳まで生きる日」を書いたそうです。
8月の発刊にあたり、時事通信からインタビュー記事が2021年7月11日に出たのですが、
その記事を見た猫界隈の方々が東京大学基金への寄付が殺到したのでした。
そのことが話題となり、7月20日に読売新聞が取り上げました。
19日の時点で9900件の寄付があり、約1億2370万円になったそうです。
(私、その記事を見て猫の飼主さんたちの熱量に圧倒されておりました。)
2022年1月11日、実用化を加速させるため宮崎教授がAIM研究所(IAM)を設立することになり、東京大学基金における猫の腎臓病治療薬研究への寄付受付は終了となりますが、
この時点で2億8千万以上の寄付が集まったそうです。
宮崎教授は、これまで一般に向けた寄付の募集はしていませんでした。
というのも、一般の方々に迷惑をかけたくないこと、
そしてそれ以上に薬を作る研究は非常に長い時間がかかる上に完成をこの日までに約束できるものでないことから、薬の完成をお待ちいただく皆様に心配と不安を与えたくないと考えていたそうです。
この話のすごいところは、宮崎教授が寄付を募ったのではなく本を出した時に、資金難で開発ストップしちゃったんだよね~とインタビューで言っただけで、猫好きが個々で自主的に行動してこうなっちゃったところです。
猫の存在はスゴイですね。ただいるだけで周りの人間が行動を起こしてしまうんですから。そして、この文章を書いている時も膝の上で寝ている愛猫を見て、お前スゴイなって思うのでした。
ちなみに、AIMとは「マクロファージを死ににくくする・元気にする」の頭文字をとって、AIM(Apoptosis Inhibitor of Macrophage)と名付けられました。
体内に侵入した細菌やウイルスに感染した細胞、体内で不要となった老廃物を取り込んで分解するマクロファージの1種です。
1995年に人間の血液中に高濃度で含まれているタンパク質を発見し、AIMと名付けます。
いろいろ研究しているうちに、人間以外の動物も調べると猫だけ他の動物のようにAIMが機能していないことが解り・・・今にいたると。詳しく知りたい方は本読んでね。
宮﨑先生の記事を見ていると、この人めっちゃいい人だと思うところが所々見つかります。その一つにマルカンから販売されている「AIM30」というキャットフードです。
腎臓病治療のためのAIM薬の開発には時間がかかり、多くの愛猫家を長い間またせてしまうので、治療効果を望むのは難しいが予防や軽症の腎臓病の補助として、どこでも買える安価な商品として、できる限り速やかに愛猫家に届けられるようにしたいとL-シスチンを配合したフードを作って欲しいマルカン社に依頼したそうです。
L-シスチンはAIMを活性化させる効果があるそうです。
AIM薬の開発研究と並行してAIMを活性化する天然成分を長い期間探索してきた中で、ドリアンの果肉に含まれる成分の中にAIMを活性化させる効果があることが分かり、必須アミノ酸であるシステインが2個結合した形のL-シスチンを候補物質として同一と認定。L-シスチンは従来からサプリメントや食品添加物として使われており、安全性も保証されています。
ただ発売当初はちょっと猫飼主たちに混乱もあったようです。
AIM30は一般食であり、動物病院で出される療法食ではないので、あくまで治療中で療法食を食べている猫ちゃん用ではないので悩んだらマルカンや獣医に相談して下さいと、「AIM活性化成分配合のペットフードについて」 AIM医学研究所所長のコラムに書いていらっしゃいました。
今はサプリメントも販売されているので、療法食と併用することも可能そうですが、やはり使う場合は獣医に使用しても問題ないか確認することをお勧めします。
まとめですが、
猫の腎臓病治療への未来への希望は明るいという内容よりも、猫の飼主の猫への静かな熱量がスゴイわぁ~という感想しか出てきませんでした。以上おわります(笑)
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