アルファシンドローム(権勢症候群)

「アルファ」とは「α」のことで、一番とか最初という意味があります。

犬の社会構造を説明する時に先祖である狼が例えとしてよく使われます。

狼は群れで行動します。その群れにはα(アルファ)をリーダーとした順位制があり、アルファの指示で群れが動く縦社会の構造になっているというものです。


アルファシンドロームを簡単に言うと、

愛犬が家族の一番上の順位(アルファ)になっちゃった(と犬が認識した)ということです。


アルファになってしまった犬は、家族を自分の支配下に置きたがります。

自分の許可がないのに勝手に行動することを許さず、愛犬(アルファ)の決めたルールを守らないものには罰が与えられます。

例えば、自分の許可なく勝手に部屋を出ていく。家族がイスに座っていて急に立ち上がるだけでも罰が与えられることもあります。

その罰とは実力行使の暴力です。家族が大ケガするぐらいの本気に近い咬みつきです。

噛みつかないまでも威嚇で唸ったり、吠えたりして家族を支配しようとします。


犬の問題行動の中でも深刻な状態です。吠えるとか甘咬みに悩んでいる問題行動がとっても可愛く見えてしまいます。

先ほどの例えで、「自分の許可なく勝手に部屋を出ていく」「家族がイスに座っていて急に立ち上がる」を上げました。この問題に対し、愛犬が吠えて困るというのはよくある問題行動の一つです。

ただし同じ問題行動でも、吠えるだけならまだ可愛いのですが、アルファシンドロームの場合は攻撃されたり、吠えるにしても吠え方が鬼気迫る吠え方で深刻さが違います。

日常生活に支障が出るレベルの問題行動なのです。


ですので、「アルファシンドロームの症状にうちの仔も当てはまるかも!」と思って不安になってしまうこともあるかもしれませんが、

日常生活が犬のために通常に送れず、犬のことを常に考えてしまい、ストレスを受けている状態でなければ普通のよくあるかわいい問題行動ですのでご安心下さい。

愛犬がカワイイと思えていれば大丈夫です。



アルファシンドロームの場合、

愛犬が怖い、こちらは愛しているのにあの仔の行動(考え)が解らない。と、どんどん悪い方へ負の連鎖になっていくのではないでしょうか?(私の想像です)

この状態では、家族だけで何とかするのは難しいので、第三者(プロのトレーナー)の介入が必要です。


愛犬を怖いと思ってしまうのって、悲しいですよね。

でも愛犬も怖いと思っているのです。(私の想像です。)


これは私の見解ですが、犬の性格もそれぞれで、

リーダーになりたい気質の犬もいれば、ナンバー2がいいとか、トップがしっかりしていればそれでいいと思っている犬もいると思います。家庭犬の場合、リーダーになりたいと思っているのはごく少数だと思います。


私も物臭な方なので、しっかりしたリーダーがいて、群れ(家族)が安泰であれば別にリーダーになりたいとは思いません。だってリーダーになったら責任とかストレス多そうじゃないですか。


家庭犬は生まれたときから食事を提供され、住む家とテリトリーが確保されています。

人間がやってくれるから狩りをすることも、テリトリーを敵(テリトリーを乗っ取ろうとする同族の群れ)から守る必要もありません。

なのに、「家族が自分の要求を通せばすんなり受け入れてくれるし、思い通りに動くし、

自分を王様扱いするから自分がこの群れ(家族)のトップなんじゃないの?」と、

しかも「なんか知らんけど家族頼りないから、自分が守っていかないといけないんじゃないの?」と犬が思うようになってもおかしくはない環境が続き、

いつのまにか関係性が崩れ・・・、アルファシンドロームに。


犬をアルファにしてしまうのは人間が犬を甘やかすばかりでしつけをしなかった、もしくはしつけはしていたつもりだけど方向性が間違って、すべてが悪い方向に行ってしまったことで起こるのではないでしょうか?


犬もなりたくてアルファの地位を勝ち取った訳ではなく、普段の生活の積み重ねの結果、アルファになってしまったことに犬も混乱しているのでしょう。

アルファのはずなのに、家族に守られているし、養ってもらっている。

アルファなのにアルファとしての仕事が十分にできないし、その環境もない。

アルファなのに置いてきぼり(留守番)にさせらるし・・・等々、

そして小さいことも許せなくなって、

自分を置き去り(留守番)にするかもしれないから出ていくな!動くな!

などちょっとしたことにも不安になって過剰に反応してしまうのではないでしょうか?


人間社会で飼われている犬は、野生の環境とは違います。

アルファになってもアルファの仕事もない。アルファになることは悲劇です。

アルファシンドロームになってしまった犬は混乱とストレスになって心が休まりません。



だからという訳ではないですが、しつけは絶対に必要です。

アルファシンドロームの症状になる犬はめったにいないですが、

しつけは人が犬に人間社会のルールを伝え、犬に理解してもらうためのものと考えています。分からないことはストレスですが、分かることが多ければ多いほど人間社会でのストレスも少なく穏やかな日常生活が送れます。


犬がのびのびとなるべくストレスなく暮らしてもらうことが、犬にも飼い主にも幸せなことです。


「犬をのびのび育てたいからしつけはあまりしない」は、将来の犬の豊かな日常生活に制限をかけてしまうことになるかもしれません。

それよりも、今は可哀そうでも将来の豊かな日常生活のために、我慢しなくちゃいけないところは我慢することも理解してもらいましょう。しっかりとしつけの知識を持ち、正しい方向に導いてあげることが飼い主の役割であり、飼い主の幸せだと考えます。


うーんなんか硬くて、正しい方向とかよくわからない、面倒くさそう・・・

と思った方は、トレーナーに頼みましょう。

犬の将来を豊にし、そして家族も幸せにするためのお金は高価だけど高くないです(笑)!

楽助

犬との暮らしを楽しくお助け、 「楽助」です!! しつけ教室を出張でやってます!愛犬との暮らしを楽しくサポートさせてください!

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