蚤の小便、蚊の涙から安寧を目指す

ノミを使ったことわざに
蚤の心臓(臆病、怖がりなどの意味で使われる)
蚤の夫婦(夫より妻が大きい夫婦のこと)
蚤の小便、蚊の涙(極めてわずかなこと)
蚤の眼に蚊のまつげ(きわめて小さいもの)
蚤の息も天に上がる(誰でも一心に努力すれば望みを叶えられる(← 一心に事を行えば、蚤のような小さなものの吐息も天に届かせることができるとの意から))などがあります。

厄介者ではあるけどノミは昔から身近にいたんだと実感させられます。


ノミは約2000種いるので、たいていの恒温動物にはネコノミ、イヌノミ、ヒトノミ、ネズミノミなど専用のノミがいるそうです。本来は宿主に寄生していますが、宿主が死亡したりしていない時には一時しのぎで他の動物から吸血します。

現在の日本では、ネコノミが優勢のようで、犬に付くノミもネコノミで、人への被害もネコノミからだそうです。人につくヒトノミもいるのですが、現在の日本では見つからないようです。


ネズミノミといえば、ペストを媒介するケオプスネズミノミが有名(?)です。
ペストに感染していたネズミが死亡し宿主を失ったノミが人間に移り、吸血することで人間にペスト菌を感染させます。世界中に分布し日本でも北海道以外の各地に生息しています。1927年以降日本ではペストの感染は確認されていません。


ペストの大流行は、
6世紀東ローマ帝国、14世紀ヨーロッパ、16世紀ロンドン、19世紀末には中国とアジアにも流行しましたが、1894年に北里柴三郎とフランスの細菌学者が同時期にペスト菌を発見し収束へと向かいます。

ペストはネズミが運んできた(ネズミ→ノミ→ヒト)と考えられていました。
近年にはネズミだけではアウトプレイクを起こすほどのスピードと拡散力が弱いので、人に寄生するノミが原因だったのではとの説(ヒト→ノミ・シラミ→ヒト)も出てきました。確かに、ヒト→ヒトで感染していく方が広がりは早いですもんね。ノミ・シラミの伝播力恐るべし。


分からなかったことが分かってくるって面白いですね。その反面、分からないことが分からないままだと不安が生まれます。そんな不安から来る悲しい出来事も起きていました。
ユダヤ人の迫害です。

ヨーロッパでは13世紀にも大規模な追放や殺害が起こっていましたが、ペストの流行がさらに拍車をかけました。井戸に毒を流したという噂を流され、自警団が組織され、町民はユダヤ人狩りにこぞって志願し大勢のユダヤ人が虐殺されました。


「井戸に毒を流した・・・」のところを読んだ時、おんなじゃないかと思わずにつぶやいてしまいました。関東大震災で起きた朝鮮人虐殺と。
そして現在でも日本で、そして世界中で行われているヘイトクライム※が続いていること気落ちするのでした。
※ヘイトクライム→人種、民族、宗教、性別などの属性を理由に特定の個人やグループを標的にした暴力や犯罪行為


1923年関東大震災が発生しました。その直後に「朝鮮人が暴動を起こした」「井戸に毒を入れた」などの噂が瞬く間に全国に広がり警察や自警団などが朝鮮人、中国人、朝鮮人と間違えられた日本人を取り締まり殺害しました。その数1000人以上とされています。

大規模災害の異常事態で不安や恐怖の中、ちょうど都合のいい噂(デマ)がやってきたら安直に飛びついてしまうのかもしれません。都合よく捉えて動き出し、群衆行動が理性の箍を外し、普通の人が人を殺すことも平気にしてしまう。異常事態とは恐ろしいものです。


昨今の日本は、外国人嫌悪、排外的な考えを持つ一部の人の声が大きくなってきているように感じます。流行に乗ってお金(動画の再生数)のためにヘイトクライム、ヘイトスピーチ※を拡散する人もいます。さらにそれに勢いづいて一部の差別主義者が悪目立ちして注目を集めています。そんな状況に普通の人々も少しずつ外国人の悪印象を無自覚に刷り込まれ排他的思考に傾いているのではないかと少し不安に感じています。

もし今この時、日本で大災害などの非常事態が起こってしまったら、今まで一部の人が嫌がらせ的に行ってきたヘイトクライムがより悪質にエスカレートしてしまうのではないかと不安が頭をよぎるのでした。

※ヘイトスピーチ→人種、民族、宗教、性別など、特定の属性に対して増悪を表明する、あるいは差別を正当化もしくは助長する表現


何かおかしな方向に向かっているようで漠然と不安感を抱える世の中ですが、とりあえず犬や猫など傍にいてくれる存在は大きいです。我が家の愛猫たちのおおらかでいつも肯定的に受け止めてくれる寛容さを見習って自分自身も行動したいと思います。そして世の中も蚤の眼に蚊のまつげからでも寛容さが増えるといいなと思うのでした。

楽助

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