鳥インフルエンザの伝播経路のひとつにオオクロバエが関与していることが最近発見されました。九州大学の准教授のグループが冬に活動が活発なハエとウイルスの関係について調査し、2024年に論文を発表。感染した鳥の死骸や糞を食べたオオクロバエが、高病原性鳥インフルエンザを取り込んで飛び回っていることを明らかにしました。
オオクロバエは動物や鳥が死ぬとやってきます。また糞などにも引き寄せられるため、畜舎にもよく飛んできます。鳥インフルエンザなどの感染症対策には、ハエ対策も重要になってくるでしょう。今後の防疫対策の構築に役立つことが期待されます。
何かのきっかけでこの記事を知ったとき、真犯人はお前だったのか!と、ミステリードラマの一場面が頭の中で構築されそうになりました(笑)。
鳥インフルエンザは日本に越冬してくる渡り鳥から持ち込まれ、鳥同士が接触することで感染します。感染経路は感染したカラスやネズミなどが持ち込んでくると考えられていますがハッキリしていませんでした。
消毒等の感染対策や、鳥が入ってこないように対策はしているはずなのに、鶏舎にどうやって病原菌が持ち込まれるのか不思議でしたが、ハエなら可能だなと納得してしまいました。新事実が発見されるのは面白いですね。
なぜいきなりハエの話題が出たのかというと、前回のブログで人間の命を奪っている生き物ランキングを載せた時に、5位のツェツェバエの睡眠病とはなんぞやと調べているうちに、ハエに関する興味深いネタが出てきて飛びついてしまったのでした。
ちなみに、ランキングは
1位の蚊は年間で72万5000人の命を奪っています
2位は人間で47万5000人
3位はヘビの5万人
4位は犬で2万5000人(狂犬病に感染した犬による)
5位はツェツェバエで1万人(ハエが吸血時に睡眠病という寄生虫感染症を媒介する)
となっております。
睡眠病はアフリカトリパノソーマ症とも呼ばれ、寄生性原虫トリパノソーマに感染したツェツェバエに吸血されて発症する感染症です。
サハラ以南36か国で見られており、感染者数は6000~7000万人、死亡者数は5~50万人と推定されています。
初期は発熱、頭痛、筋肉痛などの軽い症状ですが、進行すると睡眠周期が乱れ朦朧とした状態になり、さらには昏睡し死に至ります。
ハエにしろ、蚊やダニにノミと昆虫の感染症怖すぎると思っていたら、ちゃぁーんと、いろんなサイトで節足動物が媒介する感染症が紹介されていました。それだけ注意喚起があるってことですね。
節足動物が媒介する感染症は全感染症の17%ほどで、死亡者は年間70万以上です。寄生虫、ウイルス、細菌などを伝播します。
蚊
デング熱、リフトレバレー熱、黄熱、チクングニア熱、ジカウイルス感染症、マラリア、リンパ系フィラリア症、日本脳炎、ウエストナイル熱
ダニ
クリミア・コンゴ出血熱、ライム病、回帰熱(ポレリア症)、リケッチア症(紅斑熱とQ熱)、ダニ媒介性脳炎、野兎病
ノミ
ペスト、リケッチア症
シラミ
シラミ媒介性発疹チフス
ツェツェバエ
睡眠病(アフリカトリパノソーマ症)
サシチョウバエ
リーシュマニア症、サシチョウバエ熱
サシガメ
シャーガス病(アメリカトリパノソーマ症)
ちなみに、サシガメはカメムシの仲間です。
トリパノソーマ・クルージに感染したサシガメが夜間に眠っている人を吸血しながら糞をします。その糞がついた手で目や口を触ってしまい感染します。
感染直後は無症状か熱、疲労感、かゆみなどの症状しか現れませんが、診察すると肝臓や脾臓などが腫れたり、しこりが出る皮膚病変(シャゴーマと呼ばれる)が見られます。何十年後かに感染者の20~30%程度が心肥大、心不全などの心臓合併症や巨大食道、巨大結腸などの腸管合併症を発症します。ラテンアメリカやカリブ諸国で蔓延しています。
ダニ媒介の野兎病(やとびょう)は野兎病菌を原因とする感染症です。
野うさぎや野ネズミなどのげっ歯類の病気ですが、感染動物との接触や野兎病菌に感染したダニなどに刺されることで感染することがあります。
サシチョウバエのリーシュマニア症はリーシュマニア原虫に感染した雌のサシチョウバエが吸血することで感染します。皮膚、内臓、粘膜皮膚の3つの病態があります。
多いのが皮膚リーシュマニア症で、皮膚に腫れやこぶができ、最終的に潰瘍となります。
内臓リーシュマニア症は、脾臓や肝臓の腫脹ができ、放置すると数週間から数年で死亡します。粘膜皮膚リーシュマニア症は、皮膚リーシュマニア症を放置し治療が不十分な場合に何年後か発症します。初期はしつこい鼻づまりや鼻血などですが放置すると外観を損なう激しい粘膜皮膚の破壊を招くこともあります。
熱帯、亜熱帯、南ヨーロッパなど90か国以上の地方部で広く感染が見られます。
約1200万人の感染者がおり、毎年90~130万人が新たに感染し死亡者は2~3万人と推定されています。
サシチョウバエ熱(パパタシ熱)は、サシチョウバエによって媒介されるウイルス感染症で、発熱、頭痛、倦怠感、吐き気など1週間以内に回復することが多いですが重症になる場合もあります。
ツェツェバエにサシチョウバエと吸血ハエ怖いですね。日本にもいるのかと調べてみるといました。サシバエです。主に牛や馬などを吸血しますが、人間もたまに被害に合うようです。
サシバエは牛の伝染病を伝播したり、存在自体が牛をストレスにさせる厄介者です。
他には、ハエ目の吸血昆虫としては、アブ、ブユ、ヌカカがいます。
アブは10~20mm 湿地家畜小屋付近に生息。大きいので近づいきたらすぐ分かります。
ブユは3~5mm 渓流やきれいな水のある場所に生息。畑の草むらなどに潜んでいて、知らぬ間に吸血されます。
ヌカカは1~3mm川や田んぼ、渓流などの水辺に生息。非常に小さいので網戸を通りぬけてしまうほどです。糠粒のように小さいことから糠蚊(ヌカカ)と呼ばれています。
どれも吸血されるとても痒いので虫に刺されない対策を怠らないことが大切です。
ハエというと、汚いところに留まり病原体を運搬するイメージでしたが、ハエの影響が小さい家庭規模から世界規模まで大きすぎて驚かされました。まだまだ興味深い話がありそうなので、犬のことがおろそかになってますが、虫ネタがしばらく続きそうです(笑)。
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